あらたま

f:id:tamaki-88:20210123224028j:plain

あらたま

f:id:tamaki-88:20210123224146j:plain

先週のお稽古のお菓子。「あらたま」という銘がついてました。

「年」にかかる枕詞で、必ずしも新年を意味しないようですが、なんとなく一月っぽいですね。あらたまる、を連想しますし。

「あらたま・・・」で始まる家持の歌。

  あらたまの年生き返り春立たばまづ我が宿に鶯は鳴け

これを、多分本歌取りした素性法師の歌。

  あらたまの年立ち返るあしたより待たるるものは鶯の声

本歌、ってお茶道具でもよく聞くけど、もともとはこの、和歌の技法の「本歌取り」からきてるらしいです。

本歌、はもともとの形、本家本元、それに対してうつし、がありますけど、ニセモノ、という意味ではないんですね。模倣、というのとも少し違うのかな。

すぐれたものを忠実に模して次の時代に伝えていく場合。

スペアである場合。

どっちもありだと思います。

スペアとして、限定何個、として作られた場合ならいいいんですが、上手なうつしが、いつの間にか本物の顔をしてしまう場合、ってあるんだと思います。

大化け、なんて言われます。

なんとか探偵団で、化けの皮が剥がれたりする。

3Ⅾスキャンが簡単に出来る現代ですが、お茶道具はまだそういうわけにはいかないようで、やはりほんものは、熟練の伝統芸の中からしか、生まれないのかもしれません。

でも、伝統の世界にも新しい風は吹いてほしい。

あらたまの年の初めに、そんなことを期待しつつ・・・。